税理士先生が出版する際に考えたいこと「自費出版」

本を制作するに当たっての諸費用を出版社が負担して作るものを商業出版というのに対して、著者が自分で費用を負担するというものが自費出版です。

自費出版で本を出す場合、一体いくらかかるのか?

22638854_s
この質問も多くあります。
私は幸い、縁があって自費ではなく、商業出版をする事ができましたが、出版を考えていたときに色々と調べていた事がありました。

自費出版にも大きく分けると2種類あって、

1、書店に並ばないもの(流通しない個人的な印刷物)
2、書店に並んで販売されるもの

とがあるようです。

中には、Amazonでの販売はするけれど、書店に並ばないといった形態もあるようです。

商業出版との違い

最も違う点はかかる費用でしょう。

商業出版であれば出版にかかる費用はありませんが、自費出版の場合は、上記の書店に並ばないもので、8万円前後から50万円近く(印刷部数によって変動)するようです。

書店に並ぶ事を考えると費用感はぐんと高くなります。
300万円から500万円くらいはかかる覚悟が必要でしょう。
企画編集費やら流通にかかる費用やら色々と見積もりにのっかることになるでしょう。

例えば、先生が営業用に数十ページの書き物をして、ツールとしてつくりたいということであれば、私は出版の前に小冊子というものの制作をおすすめします。

小冊子の場合であれば内容にもよりますが、数百万円もかかるようなことはありませんし、小冊子をつくることで、出版社に実績を見てもらう、アプローチ用のツールとして活かすことが出来るようになります。


何も書いた事がない方がいきなり出版を考えるより、普段から小冊子とかブログ、メールマガジンなど文章を書きなれている方のほうが出版社さん的には安心です。

先日、当社に自費出版の営業電話がかかってきました

電話に出ると、「自費出版でブランディングをしませんか?」とのこと。

私は既に本を出しているので、「余所の出版社で既に出版をしています」と答えたのですが、案内を下さっている方はあきらめません。

「もう一冊作って、更にブランディングをしましょう!」

電話で営業をしてくるという事は、商業出版の案内ではないという予感がしましたので、私は次のように聞きました。

「自費出版ですよね?いくらくらいかかるのですか?」

すると営業担当者は、「大体300万~500万ですね」とのこと。

ひえ~と驚いてしまいました。
出版というものを良く知らない方は、それくらいかかるものなのかな?と思ってしまうでしょうし、資金の余裕がある方であればひょっとしたら、そこで出版をしてしまうかもしれません。

自費出版 唯一のメリット

ただ、自費出版にもメリットがあります。

商業出版の場合、流通をさせて売る事が目的なので、本のタイトルやカバーデザインなど出版社の意向が色濃く反映される傾向が強くなります。
自費出版の場合はここら辺の事情が変わります。

自費出版は、印刷することが目的なので、別に売れても売れなくてもあまり関係がない。
要するに、自費出版であれば費用は著者もちなので、出版社としてはリスクが無いのです。

一方で商業出版の場合は、費用は出版社もちなので、ある程度本が売れないとかかった費用を回収できません。
そのため、より市場で売れるような工夫を、著者に対して求めたりなどします。

そのため、自費の場合は本のタイトルやカバーデザインなど、個人の意見が通りやすく自由に作る事が出来るということがあります。

実は税理士先生で多いのが、出版社からあれこれ言われたくないといというケースです。
こだわりが強すぎる場合や、自分の好きに作りたいと言う場合は、商業出版ではなく自費出版にするか、ある程度著者の意見が通りやすい出版社をチョイスする必要があります。

このように、自費出版はどちらかというと自己満足の要素が強くなります。
読者に向けたものと言うよりも、自分が納得できるものを書くのであれば自費出版が適しているかもしれません。

個人的にはあまりお勧めはしないスタイルではありますが、本を出す事、ブランディングとして考えるのであれば、自費出版という道は手っ取り早く考え方によってはありなのかもしれません。

【関連記事】
【著者プロフォール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。