税理士・会計業界の商標事情について

税理士・会計事務所の商標事情を調べるときに活躍するのが特許庁のホームページから行けるJ-PlatPat、通称JPPの検索サイトです。


相続、会社設立、事業承継、財務、会計など税理士事務所のネーミングとして出てきそうなものを打ち込んで検索をしてみると・・・?業界的に見知ったネーミングがたくさん出てきます!事業や商品への思い入れの強さがこういうところにも現れます。

ぱっと見、会計システムメーカーさんの商品名が多く感じられますが、中には税理士事務所さんが独自のネーミング、商品、サービス、企画名で商標を取得されていることがわかります。

時間のあるときにサラサラッとみていても面白い!

税理士業界で商標なんて取得する事務所はいるのですか?そのような質問をいただくことがあります。実際にどのような事務所が、どのような商標を取得しているのか、商標検索サイト「J-PlatPat」を使って調べてみることをお勧めします。相続、事業承継、会社設立、財務、会計など、税理士業界に関係しそうなキーワードで検索をしてみると・・・多くの税理士事務所で商標の取得を行っていることが分かります。

税理士事務所に限らず、コンサルティング会社や会計ソフトメーカーなどが商品名に用いているケースも数多くあります。自社で商品化を行い、それをパッケージ化している事務所、会社は、商標の取得に余念がありません。それだけ大事なものだという認識があるのだと思います。

広告宣伝や営業活動を散々やっている最中に、商標が悪意のある第三者に取得されてしまった!・・・そのようなことが起きてしまったとしたら?想像するだけでゾッとします。
商標を取得するという概念をお持ちでない税理士先生も少なくありません。「そこまでする必要はない」とか「そんなものは必要が無い」というお考えです。確かに、完全な独自性のあるネーミングで何かの企画に取り組む税理士事務所様はとても少ないです。

商標に関連したトラブル自体がそんなには無いので、必要性も感じていらっしゃらないのだと思いますが、今後(あるいは過去から今現在まで)その事業に対して大きなコストを投じていくことを考えるのであれば、知的所有権としての権利を取得しておくことは大事です。

商標は取得可能かどうかを審査するための申請と、申請可能時に実際登録を行うときにかかる費用があります。合わせて数万円(取得する範囲によります)ですがこの数万円を権利保護のための必要経費ととらえるか、単なる無駄なコストととらえるかによって、その事業に対する本気度が分かります。

とにかく、実際調べてみると良いでしょう。本当にたくさんの税理士事務所が商標の取得を行い、自社の取り組みであるネーミングを守っているのです。

【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。