税理士事務所が守るべき販促媒体の著作権ルール

著作権とは何か?

知的財産権
著作権法は、日本の法律で、知的財産権の一つである著作権の範囲や内容を規定しています。この法律は文部科学省の外局である文化庁の著作権課が主に管轄しており、総務省の情報流通行政局情報通信作品振興課など、他の省庁とも協力して運用されています。 

このように、著作権法というのは法律です。法で定められているルールです。これに違反すると脱法行為となりますので、処罰の対象になります。 著作権や出版権、著作隣接権を侵害すると、10年以下の懲役最大1000万円の罰金が科される可能性があります。

また、著作者人格権や実演家人格権を侵害した場合は、5年以下の懲役または最大500万円の罰金が課せられることがあります。 悪質な場合は、なかなか重い刑罰なのです。

徹底的にパクるの誤解と危険性:創造性の欠如について

「TTP(徹底的にパクる)」という言葉が以前に流行りました。その解釈を誤ってしまっている方が少なくないことに懸念せずにはいられません。

本来、TTPは成功事例からそのエッセンスを学びとり、それを効率的に活かすことを指していますが、これが誤解され、「他者の成果をそのまま盗用する」行為が正当なものであるかのように受け取ってしまう方が一定の割合でいらっしゃいます。これは法的な問題だけでなく、倫理的な面でも大きな問題です。 

 どこかの国がディズニーランドをパクったテーマパークを作ったり、日本の著名なアニメをほぼ複製に近い形で模倣したりなどといった行為と、同じようなことをやってしまうわけです。それは問題になりますよね。 

 「模倣する」という行為が価値ある学びの一部であるのは事実だと思います。「学ぶというのは真似ぶなのだ」といった言葉がありますが、それはそれで正しいと思います。ただ、そこに独自の発想や付加価値がなければ、クリエイティビティの発展は望めません。著作権や知的財産権の重要性を無視した模倣は、それを作った人やクリエイターの努力を無駄にし、業界全体の健全な成長を阻害する危険性があります。

大手企業のチラシやホームページをそのままパクったら?

普通に訴えらます。10年以下の懲役または最大1000万円の罰金が科されます。また、著作者人格権や実演家人格権を侵害した場合は、5年以下の懲役または最大500万円の罰金が課せられます。 

 以前、当社にこのような相談がありました。その方はSONYのチラシだかパンフレットを持ってきて、デザインをそのままパクって文字情報だけ変えて欲しいということを言ってきました。更に、ホームページも作って欲しいと言われ、ホームページについては、ソースコードをそのままコピーして、画像情報だけ書き換えて欲しい。そのようなことをお望みでした。 

私は、その方にこう言いました。 
「いや、それ、犯罪行為ですから、考え方を改めたほうが良いですよ?下手したらSONYに訴えられて莫大な罰金を請求されるかもしれませんよ?」 誠心誠意お伝えしたつもりでしたが、その方は納得されず、そのままお帰りになりました。

制作物やクリエイティブの分野に対して残念ながらこの程度の認識しかない方もいるのだなと感じました。知的財産権の保護は法で定められた守るべきものです。特許権、実用新案権、商標権、著作権などがありますが、著作権ほど軽視されているものもなかなかありません。

著作権法上問題となるケースとならないケース

簡単にご説明すると、作った人がそれを認めているか否か。ということであると言えます。「作った人」というのは、デザイナーやWEBコーディングを行った人のことを指します。

その作り手の人が、「コピーや複製をしても良いですよ」「自由に使ってもらって構いませんよ」という許可を出しているのであれば、コピーや複製をしても、著作権法でとがめられることはありません。(それをとがめる人がいないから)

例えば、こういったケースが実際にあったことがあります。

【ケース1】
自分の事務所が入っているビルの建物の写真をネットで検索して、良い感じの写真があったので、画像データをそのまま使って自分のホームページの外観画像として掲載をした。

➡後日、カメラマンから問い合わせが入り、「私が撮影した写真を許可なく勝手に使わないで下さい」といったことを言われ、ホームページ上からの削除を求められた

【ケース2】
ある役所のホームページ上で使われていたフロー図がとても分かりやすく、よくできていたので、そのままコピーして自分のホームページにその画像を掲載した。

➡後日、役所の総務課から内容証明郵便が届き、弁理士連名での警告文が届いた。

【ケース3】
良い感じの写真がなかったので、ネットで検索して落ちていた画像をそのまま利用した。

➡後日、その画像の権利所有者と名乗る法人から内容証明郵便が届き、使用期間に応じた画像の使用料として50万円近くの請求が届けられた。

【ケース4】
あるチラシのデザインが良かったので、デザインやレイアウトをそのまま模倣し使った。

➡後日、そのチラシの元権利者である法人から問い合わせが入り、即時の利用停止を求められ、それに対応した。

【ケース5】
良い感じのネーミングを思いついたので使いだした。チラシにも使い、WEBサイトでも使っていた。

➡ある日突然、そのネーミングを商標登録している権利者から連絡が入り、その商標(ネーミング)の利用停止を求められた。幸い賠償請求には至らなかったが、印刷物の刷り直しやWEBサイト上の修正など、余計な経費がかかった。


実際に権利者から訴えがあるのは、画像や写真といったもの多いですが、デザイナーからしたら死活問題です。そりゃぁ怒りますし、「勝手に使ってんじゃねぇよ!」と言いたくもなりますよね。

このように、写真や画像ひとつをとっても、その作品を作った人に対して許可なく勝手に使ったり、それをまたほかの人に販売したりなどといった行為は、やってはいけないことなのです。例えば、画像のサブスクをやっているサイトの利用規約を見てみると、権利関係の記述が本当にたくさん書かれています。使用許諾についてであったり、再販防止もしくは、再販を行う場合の規約なども書かれています。

こういったものが存在しているのですが、少なくない方が、そのことについてあまりにも無関心であったりします。「別にいいじゃん」「別にばれないっしょ」「ばれたら消せばいいっしょ」「周りの人で言われたことなんてない」と言って、罪悪感が無いまま権利侵害を行ってしまうケースを今までに何度か目にしたことがあります。

そのパクリ、複製ではありませんか?許可は取れていますか?

何度も申し上げますが、著作権法は法律です。法に抵触する行為をすると犯罪です。そのパクリは権利者にちゃんと許可を得たものですか?大丈夫ですか?

勝手な判断でデザイナーなどのクリエイティブな分野で生活をする人たちの大切な権利を侵害してしまってはいませんか?TTP(徹底的にパクる)というのは、考え方やスタイル、ノウハウなどの要素を上手く取り入れて自分のものにしようという考え方です。

間違ってはいけないのが、模倣やコピー、複製を推奨しているものではないということです。