ピンボケは良いがピンズレはダメ。

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「ピンボケは良いがピンズレはダメだ!」

これは私が若い頃に仕事を教えてくれた方が、ことあるごとに指導してくれた言葉です。

ピントがぼけているのは、悪い事ではないのだということです。

カメラを撮る際に、いきなりドンピシャで、ピントがばちっと合うなんてことはありません。
被写体にレンズを向けてそこから微調整をしたり光の加減を調整したりして、良い感じで捉えるものだと。

そもそも被写体を捉えているかどうかが問題

ピンボケというのは、とりあえずは被写体を捉えているという事です。
カメラの中に捉えたいものがとにかく入ってさえいれば、あとは調整調整で何とかなる。

しかしいけないのは、「ピンズレ」であると。
ピンズレというのはピントがずれてしまっているものですから、レンズの中に被写体が入っていない状態ということなのです。

これはいけません。

ピンズレの状態で何枚、何十枚と写真を撮っても、その被写体をとらえる事は不可能です。
調整云々の話ではなくなるということです。

企画も制作もピンズレだけはしないように

そのような指導を受けてきたこともあり、私は常にピントがぼけている状態なのか、ずれている状態なのか。
そして、ピントがあった状態なのかを常に意識するようになりました。

例えば、何かの制作物を作るときに、当社が「これが良い!」というものを勝手に作る状態と言うのは、「ピンズレ」が発生しやすくなります。

ピントを合わせるのには双方の協力が必要であって、撮影する側が「もっと光が必要だな」とか、「右のヒト、もうちょっと笑顔で」とか、そういった微調整的なものを伝えて、その通りにしていただく事が必要です。

撮影される側であれば、「こういう感じのイメージを伝えたい」とか、こういうシーンで使う予定なのでこの角度で撮って欲しいとか。
そういうことを伝える必要があります。

企画もそうなのです。

例えば、当社が「高付加価値のサービスを創りましょう」といったとしても、事務所様がそれを望んでいなかったら、それはダメです。ピントがずれているので上手く行きません。

事務所様が、「今後単価を上げて行きたいと思っている」とか、「税務顧問とは異なる報酬体系を考えて行きたい」とか。
そういった「被写体」にあたるものがあって、初めて当社からの提案が成立します。

被写体がなければ撮影するという行為が成立しないので、どうしてもずれてしまうこととなります。

ピントは一発でバッチリと合う事は稀です。
ずれてさえいなければ、芯をとらえているので、バッチリとした回答に向かって調整を進めていけば良いことなのです。

【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。