世代別に考える税理士事務所の営業・マーケティング

【前編】

こんにちは。オオタキカクの太田です。
今回は「税理士事務所のマーケティングを世代別に考えてみる」というテーマでお話をさせていただきます。
独立して 17 期目を迎える当社では、30 代の新進から 70 歳近くのベテランまで、様々な年齢層の方々とお取引させて頂いています。それぞれの世代が抱える悩みや希望は異なり、同様に営業戦略も一様ではありません。
すると各世代間でマーケティング手法にズレが生じるため、各世代のニーズに合わせた戦略を展開しなければなりません。
新設法人向けダイレクトメールなどは起業家たちへの重要なコミュニケーション手段である一方、その効果が低下していると感じる人も多いようです。しかし、これは反響率が落ちているからではなく、世代の移り変わりに対応できていないからと言えます。
起業家の大多数は 30 代、40 代であり、現在は X 世代と Y 世代がその中心です。しかし 10年後には、Y 世代と Z 世代、さらにその先ではアルファー世代が主役となります。我々がダイレクトメールを送るターゲットは年齢層としては一定ですが、その中の人々は年々若くなっていくのです。
ダイレクトメールの効果を高めるためには、この世代のスライドを理解し、それに合わせた内容に書き換えることが必要です。かつては X 世代向けだった内容を Y 世代、更にその先の Z 世代向けに変えていく。これが成功している事務所の共通点です。
つまり、反響率を上げるためには世代の移り変わりを見据え、徐々に内容を変えていくことが重要です。これができていれば、ダイレクトメールをはじめとするどんな媒体でも結果は出るはずです。
マーケティング戦略は、ターゲットとする世代によって変わります。例えば、27 歳から45 歳のミレニアル世代を対象にするときや、50 歳代から 70 歳代の大企業の経営者を獲得したいときは、デジタルよりもアナログ的なアプローチが有効です。一方で、Y 世代や Z世代の起業家を対象にする場合は、彼らがよく使うソーシャルメディアを活用すべきです。
事務所の世代と顧客側の世代、更に年々変わる世代の動きを把握しながら、どのようなアプローチや情報発信をするべきかを考えることが、現代の税理士事務所のマーケティングに必要な視点だと私は考えています。

【後編】

こんにちは。オオタキカクの太田です。
今回は「税理士事務所のマーケティングを世代別に考えてみる」というテーマの後編です。
「移り変わる未来のマーケティング」への準備はできていますか?
相続の仕事を依頼する際、依頼者はどのように調べるでしょうか?依頼者がどの世代に属するかによって、その方法は変わってきます。
例えば、ベビーブーマー世代や伝統主義者世代(1945 年以前)の人々にとっては、20 年前にはインターネットの利用が一般的ではなかったため、ビジネスの重要な決定は昔ながらの電話や FAX、人間関係を通じて行われていました。
しかし、過去 20 年の間に情報技術がどんどん進化し環境がガラッと変わり、人々の行動も大きく変化しました。例えば、インターネットを通じて商品やサービスの情報を探すことは現在では一般的で、YouTube や Twitter といった SNS で情報を得ることも普通になっています。今後は Y 世代や Z 世代のように、「相続」に関してもインターネットを通じてアドバイスを受けたり、問題解決の手段として利用したりする世代が増えていくでしょう。
こういった変化を踏まえると、税理士事務所がこれから目指すべきマーケティング戦略は、「新しい世代のニーズ」を満たすことと、「より多様なコミュニケーションツール」を利用することが必要になります。例えば、Facebook や Twitter のメッセンジャー、LINE、Instagram の DM など・・・事務所へのお問合せの環境は、そのような層の人たちがお問い合わせしやすいようになっていますか?
相続は相続でも、色んな層の人たちに対して何の情報をどのような形でお届けしていくのかということを考えていく必要があるかと思います。
新たな世代に向けて新たな方法で、彼らが求めるサービスを提供することが重要です。
これからは、税理士事務所がその時代と顧客のニーズに合わせて柔軟に変化し続けることが必要となります。
【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。