税理士事務所で行うテレマーケティングの費用対効果

税理士事務所にとってハードルが高いテレマーケティングですが、非常に費用対効果が高いのです!

人件費はどのくらいかかるの?
契約率はどのくらいあるの?
今回は、テレアポという手法を用いて、顧問先拡大の取り組みを実際に手がけた経験をもとに、具体的な数字を使って説明させていただきます。

ただし、税理士事務所にはなかなか根付き難い文化でもあるので、しっかりと見極めた上で取り組んでみるようにしてください。

税理士事務所で行うテレアポは、いくつかのハードルがあります。そもそも会計事務所は事務系のお仕事ですから、そのオフィスの中で一日中電話をかけ続けるような人間が存在していること自体がそこそこの異常事態です。集中をしたいのに集中することができない。そのようなことも出てくるでしょう。

そのため、テレアポのために個室を用意することができるといった規模の税理士事務所でなければ、テレアポという手法はなかなか適しません。そして、次にハードルとなるのがアポイントを取得した後の営業です。ダイレクトレスポンス型(向こうからのお問い合わせ)ではなく、こちらからのアプローチになりますので、どちらかというと、営業力のある人が訪問をしませんと、なかなか話がまとまりません。

そして、ある程度まとまった件数にお電話を差し上げることになりますので、一定の法人数があるエリアに対して実施する必要がありますので、地域も限られるかもしれません。

しかし、それでも用法を間違わずに実施できれば、効果が出やすい手法であることも事実です。コツは税理士事務所の関与の切り替えを前提としたご案内にしないことです。

・今まで税理士に頼んでおらずちょうど探していた
・今度法人を新しく作ろうと思っていた
・法人成りを検討していた
・頼んでいた税理士事務所が廃業してしまった
・ベテランの経理事務員が退職してしまった

などの会社の個別事情にって税理士事務所を探していたという法人が一定数存在しているのです。そういったちょうど困っていたという法人に巡り合うための電話業務が税理士事務所で行うべきテレアポです。
経験の無い方ですと、10件~20件といったことをイメージしますが、桁が違います。ざっとイメージしたいのは1日180件です。1時間30件で6時間です。「え?1日6時間もぶっ通しで?」と思われるかもしれませんが、ぶっ通しでです。

もちろん、それを税理士先生ご本人が行うということではありません。1日中ということであれば、やはりテレアポの専属スタッフ、もしくは派遣のスタッフです。ここでは人件費がかかるので、一定規模の税理士事務所様でなければ難しいといえます。1日180件の電話で2件のアポイント取得。1か月で40件のアポイント。1/10の契約率で4件契約。そういうことを考えていくと、かなり費用対効果は高いものなのですが、前述したとおり、税理士事務所でこの取り組みを行うことはかなりのハードルではあります。

現在、他所の税理士事務所での関与がある法人に対しては、無理な営業は行わない。そういったモラルのようなものも必要であると個人的には思います。
【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。