全国の後継者不在率65.1%は税理士業界にも当てはまるか?

中小企業における事業承継問題は税理士・会計業界の承継問題にも当てはまる

社長のミカタ_202109
事業承継問題の深刻化は全国の中小企業だけの問題ではありません。税理士・会計業界においても事業承継の問題は深刻です。帝国データバンクの調査では、2020年時点で全国の後継者不在率が65.1%にまでなったという調査結果を出しているそうです。



今回の後継者問題に関する意識調査について知ったのは、エヌピー通信社さんが発行している「所長のミカタ」紙面を読んででした。65%か・・・となんとなく眺めていたのですが、では税理士事務所さんの場合はどうだろうか?とふとそのようなことを考えました。ある側面では当てはまりませんが、別の側面では65%以上に当てはまる。そのようなことが言えそうです。

※参考資料:月刊所長のミカタ(2021年11月号)

税理士法人化をしている事務所と個人事務所との事業承継問題への向き合い方の違い

この業界でお仕事をさせて頂いておりますと、税理士法人化をしている事務所様と個人事務所様と大別されるのですが、税理士法人化をしている事務所様はやはりもともと事業承継問題を見越したうえで法人化をされていますので、後継者が不在であるという割合はかなり低いものであると感じます。ご親族の方や長年勤務をされている経験ある職員さんが税理士資格を取得されて事務所を引き継がれるケース、若手の税理士さんや税理士仲間で合同化するようなケースもあります。

いずれのケースにしても法人化をする以上、2名以上の税理士資格者がいらっしゃるわけですので、個人事務所の状況と比べると承継問題の深刻性は軽いものになっているのではないかと思います。一方で個人事務所の場合はより深刻です。当社で関与を頂いている事務所様は比較的先々のことをお考えになって、準備をしていらっしゃるケースも多いですが、会計業界全体で考えると相当数の個人事務所は後継者不在であるということが言えるのではないでしょうか。

法人化をしている税理士事務所であれば後継者不在率は65.1%よりもかなり低くなるでしょうが、個人事務所は65.1%どころではないというのが実際問題感じられます。

個人の税理士事務所もチーム化、組織化が求められる時代

当社は小零細企業ですので、法人ではありますが個人事業により近い存在です。私は現在46歳ですが、10年後、20年後を考えると不安になるというのも正直なところです。ですので、個人税理士事務所の気持ちはよく分かるような気がします。5年~10年計画で何かしらの手を打って考えて行きませんと、自分自身に何かあった時に困るのが顧問先様ではないかと思います。(当社であれば関与を頂いている税理士事務所様です)

私自身、若いうちは一匹狼を気取って何でも自分でやろうとしてしまっていたことがありましたが、そのようなことを考え出すと徐々にチーム化、組織化を考えて行かなければいけなくなってくるのだろうな。そのようなことを考えているお年頃です。

【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。