アクセルは進む。ブレーキは止まる。バックは戻る。

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顧問先拡大を願う先生、もしくは職員様はたくさんおられます。
会計業界に関係なく誰だって、自分が所属する組織の売上が
伸びてほしい、結果、自分の給与を増やしたい、もっと世の中の
ためになりたい。

理由は様々でしょうが、良くなってほしいと願っています。

当社に来られる相談者の皆様も同様です。
お客様を増やしたい、仕事を増やしたい、売上を伸ばしたい、
事務所の規模を大きくしたい等など。

ベースは非常に前向きでいらっしゃいます。
そして、「顧客拡大」ということですから、アクセルか
ブレーキかバックかといったら、アクセルとなります。

「進む!」わけですから。
このように、税理士先生、会計事務所の方々からご相談をいただくわけです。

どのように顧問先拡大をすればよいのか、
他の事務所はどのようにしているのか、
価格競争にどう対抗したらよいのか、
地域密着で有効的な戦略は無いか、
WEBを上手に使ってもっとPRできないか。

などなど。
私はご相談を頂くと結構ぽろぽろとノウハウや答えをぶっこんでまいります。

要は、そのまま私が言った通りにやっていただければ絶対に成果が出るようなこと。
を、ビシバシ盛り込んでお応えをしているのです。

もちろん「TVでCMやりましょう」とか「DMを1万部実施しましょう」とか、
「営業部隊を設けましょう」とか、そういう無理なことは言いません。

その事務所様が出来る範囲内のことで、今一番取り組むと良いんじゃぁないか、
といったことをお伝え申し上げるわけです。
このように、様々なご相談を現場では頂くわけです。
そして私はそれに対してお応えをしていく。

そういたしますと、「反射的に」とでも申しましょうか、
「こうしたらいいですよ」というアドバイスに対して、
即座に「否定をされる」といったことが少なくありません。

一例をあげてみましょう。

「所内で毎月一回でも良いので企画会議をやると良いですよ」
相談者「みんな忙しいから時間が取れないんだよね」

「新設法人向けのダイレクトメールという手法がありますよ」
相談者「ダイレクトメールは知り合いの税理士がダメだと言っているからやりたくないんです」

「流石にホームページ持っていないと話にならないのでまずはホームページでしょうね」
相談者「経営者はホームページではなくて紹介で事務所に来るものです」

「先生は講演がお得意ですからセミナーをやってみてはどうですか」
相談者「セミナーでは顧問先は増えないし今までも増えたことが無いです」

・・・

といった具合です。
ここまでくると、もう何を申し上げても無理で、
「じゃぁどうしたいのですか?」「そもそも何のために私を呼び付けたのですか?」
とお伺いしたくもなります。
私自身も、すべてがすべて前向きではありませんので、
何か言い訳をしたり、やらない・やりたくないことを正当化するために否定から入ることが
あったりもします。人間ですから。

でも、前向きな決定事項、検討課題があった時に、
何から何まで否定から入るのはいけません。

「顧問先を増やしたい」という前向きなアクセル行為があって、
私への相談となります。

しかし、営業活動そのものに対して気持ちが前向きになることが出来ず、
体がブレーキを踏んでしまいます。それが言葉になって現れます。

言葉がブレーキですから、そのまま静止状態になるのであれば、
まだ良いです。

しかし、多くの場合静止状態はバックにつながります。
私は経営というものはゆるやかな、
あるいは急な上り坂のようなものであると考えています。

坂道の途中でブレーキを踏むと、車は止まるだけではなくて、
坂になっていますので勝手にバックしてしまうというわけです。

ですから、結構なパワーで前進する、アクセルを踏む。
といったことをやりませんと、前に進まないわけです。

顧問先拡大が出来ないという先生は次のことを是非とも実践してください。
検討課題が目の前にあった時、絶対に否定から入らずに肯定から入る。

それに取り組むかどうかは検討の余地はあると思いますが、
「そんなのダメだよ」とか「無理だよ」とか、やる前から否定全開で向き合わないことです。
【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。