「強み」が見つかるのは現場から

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お客様が求めていないものは「強み」とは言いません。

例えば「医業経営に強い」というものがあったとします。

仮に、仮にですが、
その事務所では医業のお客様が未だにゼロで、
「医業は儲かるから」と言う理由で「医業に強い」と言ったと仮定します。

さて、これっていかがでしょうか。

特定のケースを否定するわけではありませんが、
私どもであれば、税理士事務所のことをまったく知らないのに、「税理士特化型ほにゃらら」とやっているようなものです。

「外国産の安い肉」を「黒毛和牛です」と言っているようなものです。

そうです。
絞らないとダメです。

でも、今まで何もやったことが無いのに「専門家です」とか「実績多数!」というのは、
嘘になってしまう
わけです。

例えば、「ウィンドウズ8です」といって売っていたのに、
「ウィンドウズme」だったら、これは困ってしまいます。

ではどうすれば良いのか?
それを今回は考えてみましょう。
先生の強みは現場にしか落ちていません。
現場にしかありません。

現場と言うのはお客様との接点があるときです。

これ以外の強みは、どんなこんさるたんとやマーケッターであったとしても分かりません。
先生や先生の事務所の職員さんでないと究極的には絶対に分からないものです。

例えば、「今、トレンドは塩ラーメンである!」というコンサルタントが居たとして、
「よっしゃぁ!じゃぁうちの店は今まで味噌一本だったけど塩もやってみっか!」となって、
じゃぁ、それって「強み」になるのか?

ということです。
なりませんね。

味噌一本でされていたのであれば、その店の強みはやはり味噌でしょう。
外部の人の言いなりになって塩を導入したらどうなるか?
自慢の味噌が弱まったり、中途半端になって、その他大勢のラーメン屋さんに・・・

ということになってしまうかもしれません。

ここです。
変なこんさるたんとが「塩である」と言っていたとして、
でも、実はこれがあたっていて、その店は塩をやったら繁盛する。

そういうこともあるわけです。
で、大切なのはここからです。

「塩を強みにするべきかどうか」

という判断を、外部の第三者にさせるのではなく、現場に問うてみるのです。
もうこれです。絶対にコレです。

例えばそのお店で「マスター、この店って味噌しかないの?塩あったら欲しいんだ」
なぁんてことをしょっちゅう言われているのなら塩導入すると良いでしょう。

しかし、「マスター、最近じゃぁ塩がブームだけどここは味噌一本で俺は好きだぜ」
なぁんてお客様が多ければ、塩になんて手を出してはいけない。

そういうことです。
飲食に強い、医業に強い、製造業に強い、建設業に強い。
業種によっての絞込み。

経営コンサルティングができる、経理代行・記帳代行、助成金・補助金のサポート、
相続や事業承継に強い。
といった業務内容による絞込み。

その絞込み、他の事務所の成功事例ではありませんか?

先生のお客様がそれを求めていますか?

そこは聞いてみると良いでしょう。
「お客様、今まで自計化をオススメして来ましたが、実際どうですか?」

「凄く面倒でお金を払ってでも代わりにやって欲しい」と言う人が多ければ、
経理代行・記帳代行はニーズがあるということです。

「いや何も問題ないよ、ソフトも慣れてきたし楽しいよ」と言う人が多ければ、
そこは代行ではなくて自計化推進こそ強みであると言うことが分かります。

ここら辺を外して全くの新規の市場に向けて、事務所にとって新しい取り組みを実施するのは、
かなりリスキーです。

ひとつには地域性の問題があるということ。もうひとつは既存関与先との関係性があるということ。
ニーズがあるかどうかは現場にしかなくて、お客様に教えていただくのが一番の近道です。

【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。