税理士先生の意思決定の速度で拡大力も変わる

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今回の話は地域密着型に限らず、そして税理士・会計事務所に限らずかもしれません。

あえて地域密着型の税理士先生向けのテーマで書いているのは、「そういう傾向が強い」ということがあるからです。
それはずばり。

「意思決定に時間がかかる」
「年間を通して意思決定の回数が少ない」
「実践力が無い」


この3点が地域密着型の事務所様の場合、傾向としてですが、多いということがあります。

組織全体の協調性を重んじるという、日本的な美徳が強く出ているためかもしれません。

税理士先生の意思決定に時間がかかるということは?

しかしながら、こと顧問先拡大というテーマを考えた場合意思決定に時間がかかることが、顧問先拡大が出来ない理由に直結しているといったことがよくあります。

先生の意思決定に時間がかかるということは、つまり進む速度が落ちるということです。
顧問先拡大の件数も必然的に落ちます。

これはノウハウだとかツールがどうこうの問題ではありません。

例えば、ホームページを作る。
というプラン・意識決定事項があったとします。
決断に時間をかけない先生の場合は、必要性を感じたら直ぐに作るという決断をします。

もちろん、どの制作やさんに依頼をするかなどの検討はされるかもしれませんが、何ヶ月もかけて悩んで悩んでといったことはしません。

しかし、ここで意思決定に時間がかかる先生の場合は検討するのに半年、1年かけてしまいます。
業者の選定で悩み内部の意思疎通で時間をかけ、所内での調整を行い、見積りを取ったりセミナーに参加したり情報集をしたり、また相見積りをしたり。

そうこうしているうちに繁忙期に入ってしまい、やるべきことを後回しにしてしまう。
そういう事態は決して珍しいものではありません。
下手をしたら、3年、5年経っても何も決まらず、何も進まずといったこともあり得ます。

年間を通しての意思決定の回数が少ない

これも「意思決定に時間がかかる」と連動して生じる問題です。
ひとつひとつの意思決定に時間がかかりますから、必然的に回数が少ないわけです。

そうしておりますと、意思決定が早く、回数が多い事務所は次から次へと新たな販促であったり、営業活動にアクションを起こし続けますのでお客様が増えていきますが、悩んで悩んで時間がかかってとなりますと、何も進みませんのでお客様も増えません。

ホームページを作ることを例としてあげましたが、チラシを作る、リスティング広告をやる、名刺を作って配る、セミナーをやる、このように、営業活動になりますと意思決定の事項がたくさんあるものです。

この回数が多ければ多いほどお客様を増やしているという事実があります。
回数が多いということは一回一回の意思決定の速度も速いということです。

地域密着型の事務所様の場合、この点が弱みになっていることがあります。

実践力の有無は「慣れ」の問題です

実践力がある先生は一度物事が決定すると、一気にダーっと進んでいかれます。
何事もスピードが速いのです。

しかし、地域密着型の事務所様の場合は、(そこが良いという面もあるのですが)物事の進み方の速度が総じてゆっくりであります。

関東圏や大阪であれば激しい競争に晒されておりますので「ゆっくりなどしていられない!」といった意識があるのですが、競争が激しくない地域の事務所様の場合は、「まぁそんなに焦らなくても」といって何もしなかったり、意思決定に時間をかけたり。

と、そういう傾向があるのかなと個人的には感じております。

地域密着型の事務所様で、意思決定が早く、年間の決定数が多く、実践力がある事務所様は、ほぼ、もれなく顧問先の拡大には困っておられません。

それだけ、営業やマーケティングにコストを投じておられますし、成功も失敗もされているので、物事の要不要も認識されていらっしゃいます。

そこで、地域密着型の事務所様で顧問先拡大にお悩みの先生がおられましたら、

「意思決定を意識的に早くする」
「年間(あるいは月間)の意思決定回数を倍にする」
「決めたことはとにかく実践する」

この3点をやってみて下さい。

半年後、1年後、事務所は見違えるように活気が出ていることでしょう。

【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。