地域密着型では逆に成果を出し難いという税理士先生も

地域で唯一のお役立ち会計事務所の立ち位置

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前回の記事で地域密着型の立ち位置についてお話しいたしました。
中には参考にしていただける環境の事務所様もおられるでしょうし、
逆に「うちの地域はそんなに甘くない!」とお感じになる先生もおられるでしょう。

トータル的な相談窓口としての役割を担うという方向性は、
地域によっては既に取られてしまっている可能性があるからです。

それこそ、特定の地域内においては、
会社をやっていたらこの先生に頼まないと村八分。
とまではいかないかもしれませんが、それに近い状態を
創り上げていらっしゃる事務所様もおられるのです。

完璧な税理士・会計事務所は無い

そこで少し分析をしてみてはいかがでしょうか。
物事に完璧はありません。

どんなに大手企業、大手事務所であったとしても、
ほころびがあります。

「ほころび」というと、「欠陥」のように聞こえるかもしれませんが、
そうではなく、「手が回らないところ」「お客様が不便に感じているところ」があります。

いくつか(想像で)挙げてみましょう。

■報酬体系が古く高い
■全体的に年齢層が高い
■インターネットに弱い、電子メールを使えない
■担当者の年齢が高すぎるあるいは若すぎる
■先生が来てくれないあるいは先生に会えない
■競合である会社と同じ事務所に頼みたくない

などなど考えられるかもしれません(あくまで想像です)。
さて、このような環境があったとしたらどうでしょうか。

攻めの一手を打つなら他に手が無い

例えば大手事務所の下請けのような立場で仕事をしていくということであれば、
あまり目立ったことはできませんしやらないほうが良いと思います。

しかしながら、先生の事務所は独立した1個の事務所です。
(良い意味で)攻めて行かねば。
すると先ほどの項目を攻め手に変えることが近道です。

■報酬体系が古く高い

 →報酬体系を(地域内で)新しいものに刷新、提案してみる
■全体的に年齢層が高い
 →若くてフットワークの軽い事務所を売りにしてみる
■インターネットに弱い、電子メールを使えない
 →ネットに強い、スマホを使ってFacebookもやってみる
■担当者の年齢が高すぎるあるいは若すぎる
 →相談しやすい年齢層、人員をそろえる
■先生が来てくれないあるいは先生に会えない
 →現場周りは有資格者が頑張るあるいは税務相談は税理士が直接担当する
■競合である会社と同じ事務所に頼みたくない
 →そういうニーズの受け皿になる

など考えられそうです。
要するにすべてがすべて大手の事務所さんが受けきれるものではないということです。

最初は1件、2件かもしれませんが、徐々にその芽は大きくなるものでございます。

しかし、それすらも難しいという地域は存在する

と、ここまでの前向きな考え方すらも打ち消すような、
客観的に考えますと「閉鎖的な地域」が存在することも確かです。

「この事務所(先生)には、この地域内では逆らえない」という地域です。

こういう地域になってしまいますと、
そもそも、その地域で独立開業することがどうなのかという点があります。
もう、エリアを変えるしかないという環境も無くはありません。

あるいは、その先生と仲良くなって、
地域内で共存できないか提案をしてみるなどは考えられるかもしれません。

例えば、相続の案件(例えば土地評価に精通するなどして)に特化して、
案件があったら回してもらうというような立ち位置です。

アライアンスを組む相手として、スケールでは到底かなわない大手税理士法人さんと、
一緒に仕事をさせていただくような状態を創る。


それも、中小事務所が生き残るすべとしては立派な一手であると私は考えます。
【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。