第43号 投資するなら一番の資産に

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変化しないとダメになってしまう!!
2020年を振り返ると「変化の年であった」と感じる他ありません。世の中 の常識がガラッと変化しました。その変化に適応することができないと、 当社のような小規模でやっている事業者などすぐにダメになってしまう。 私はそのような危機感を2020年の前半に抱いていました。私がまず頭をよぎったのが、「1年以内に売上が半分になるかもしれない」 という仮説です。そして、「今までと同じやり方で同じように売上の創出ができるかどうか」という問いかけでした。この二つの問いかけ に対して、私が出した答えは「変化しないとダメになる」というものでした。もうこれは、中小企業経営者であれば誰もが持っている「カンピューター」がそう告げていました。でも、ピンチはチャンスです。私は「それ」を前の職場で大いに学んでいました。

商品価値が1/10になったとき、会社はどうなる?
私が新卒で入社した会社は、会計ソフトを開発して販売する会社でした。私がその会社に入社したのは2000年の4月。DOSのシス テムからWINDOWSに切り替わるというタイミングでシステム移行に伴う問題などがあった、大変な時期でした。当時、WINDOWS版 の会計ソフトは1本30万円とか40万円していたのですが、ソフト自体の価格は年々目減りしていてわずか2年ほどの期間で1本30万 円のソフトが3万円、それこそ1/10にまでなったということが実際にありました。
ソフトの販売価格が1年~2年で1/10になってしまったわけですから、これはもう大変なことです。組織としてドラスチックな改善や改革を求められた過渡期に私はその会社に在籍していました。経費削減や節約、そして人員整理…。当時の私はまだ若く、この時の経営者の苦しみはとうてい理解が出来ていませんでした。その時の経営者の考えや思考というものを知ることが出来たのは、その数年後のことです。
当時の代表が経営者向けのセミナーを定期開催する機会があり、その中で「売上1/10のときの話」をいつもしていたのです。
「経営者が従業員の首を切る」経営者としてとにかくそれが一番辛かったというはなしが印象的でした。私はセミナー担当でもあり ましたので、通算で100回以上その話を部屋の後ろでいつも聞いていました。この部分の話になると、参加者の一人か二人は必ず目頭を押さえていたものです。「あぁ。あの社長さんも、経営者としてそういった辛い思いをされたのだろうな」と感情移入をして、私も一緒に目頭を押さえるという涙の連鎖が起きる瞬間です。
そのような辛い時期を乗り越えて、同社は新しい事業を立ち上げて今に至っているといった話しになるわけですが、その時にとに かく強調されていたのが「ドラスチックな改革」といった内容のはなしでした。そして、「会社の資産が何かを見極め、それに徹底的に投資する事」これこそが生まれ変わるための唯一の手段だ。といったことをおはなしされていたように記憶しています。
先生方の事務所の資産は何でしょうか?それを見極めのが重要!
自社の資産が何なのか?これは簡単なようでいてかなり難しい問いです。先生はこの問いに対してパッと答えることができますか?
これを自問して明確な答えが出たときに、新規事業や新規拡大、新商品の原型が生まれます。そのためにはまずは資産のたな卸しを行うのが良いのではないかと私は考えます。営業上の取り組みとして考えたとき、一体何が資産となるものなのか?簡単に答 えは出てこないと思います。
というのも、自社の資産というものは自分自身では分からなかったり、気が付かなかったり、見過ごしてしまっていたりするものだか らです。普段から当たり前に行っていることが、実はそれが最大の資産だったということは良くあるのではないでしょうか。例えば、 毎月出している事務所のオリジナルニュースレターかもしれませんし、定期開催しているセミナーのレジュメかもしれません。あるいは考え方やこだわり、顧客層、地域、事務所の歴史、人材…あらゆるものが思い浮かびます。なかなか表面化し難いものであったりしますが、ここが明確にならないと力の入れどころも分からなくなってしまいます。ここぞというときに、どこに向かって投資をして行くべきなのか?自社の資産を見誤らないようにと、自分に言い聞かせております。

合資会社オオタキカク 代表 太田亮児
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