税理士によくある営業に対する間違った向き合い方

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「営業」について間違ったイメージを持ってしまうと、「しっかりと説明しなければ」とか「きちんと説明をして説得をしなければ」といったことを優先的に考えるようになります。そうなるとどういうことが起きるでしょうか。それは、お客様からの話を聞くのではなく、一方的に税理士先生がはなしまくってしまうという現象が起きます。

稀に、税理士先生が個別相談をされる席に同席をさせて頂くことがあるのですが、税理士先生の多くはとてもたくさんお話になるケースが多いです。お客様が1お話になると4くらい税理士先生がお話になってしまうのです。

特に、ご相談者の方が聞き手に回ってしまいますと1:9くらいの割合にまで、税理士先生のお話が中心になってしまいます。こうなってくるとご相談者様も疲れてしまいますので話はまずまとまりません。

税理士先生は聞き上手が営業上手?

税理士先生や会計事務所の方はカウンセラーやお医者様と一緒ですから、説得したり説き伏せたりなどは一切しなくても良く、むしろ相談者様のお悩みや課題をじっくりと聞き届けて頂きたいのです。税理士事務所における営業は話し上手よりも聞き上手の方が断然上手く行きますし、私が現場を見歩く中でお会いする税理士事務所の営業を担当している先生や職員さんほど、お話になるタイプの方よりも静かに聞き届けるタイプの方のほうが成果を出しているように感じます。

とはいえ例外もあります。それがスーパー営業マンの存在です。何がスーパー営業マンかと言うと、これはもう、天性のものと申しますか、天才的に営業というもののセンスがぎらぎら光ってしまっているというタイプの方です。税理士事務所の営業という視点で考えますと100人に1人くらいの割合になるのではないかと思いますが、私のようなマーケッターが考え及びもしないほどの、営業巧者が世の中には存在するということがあります。

ただ、そのようなスーパーな営業マンは税理士事務所にはなかなか存在しませんので、聞き手に回るカウンセリングタイプの営業マンが活躍するのが普通です。無論、先生ご自身が天性の営業巧者であるというケースもありますので、どちらが良いとか良くないといったものではありませんが、タイプによって向き合い方を変えないと営業活動(個別相談や初回面談時の営業)は上手く行きません。
【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。