【熟練度】税理士事務所の動画配信 ~継続で変わる、伝え方と信頼感~

目次

  • なぜ今、税理士事務所が動画を配信するのか
  • 税理士事務所の動画活用事例は実際に増えている!
  • 初心者こそ知っておきたい:動画配信の「慣れ」
  • 特別なスキルがなくても大丈夫!継続こそ最大の武器
  • 動画配信を成功させるコツ3つ
  • 動画配信を「習慣化」することで、事務所の信頼が広がる

なぜ今、税理士事務所が動画を配信するのか

近年、税理士事務所の新たな情報発信手段として、「動画」の運用が増えてきました。 中でも身近なのはYouTubeです。

スマートフォンひとつでも手軽に撮影・配信ができるようになり、「税制解説」「相続対策」「インボイスについて」といったテーマで、視聴者(既存の関与先向け、一般の方向け等)に分かりやすく伝える取り組みがじわりと浸透してきました。

これまで税理士の業務は、「静的な専門サービス」というイメージでしたが、動画を通じて先生や担当者の人柄や専門性が見えることで、顧客との距離がぐっと縮まり、信頼感を築くことにもつながります。

税理士事務所の動画活用事例は実際に増えている!

動画の運用に積極的な税理士事務所は次のような動画を配信しています。

■税制改正の解説動画 → 最新の法改正をやさしく伝えることで、顧問先への付加価値提供に。 
■相続や事業承継に関する講座・セミナー風コンテンツ → セミナー形式で「学び」の動画を提供。
■事務所紹介やスタッフインタビュー → 初めての相談者に安心感を与える。 
■よくある質問への回答動画 → 繰り返し説明していた内容を、動画でまとめて伝えられる効率的な手法。

いずれも「専門性」と「親しみやすさ」を兼ね備えたアプローチで、従来のブログやニュースレターとは違った価値を提供することが可能です。また、撮影方法にトレンド性を反映したり、専門の編集会社に依頼したりして、エンタメに寄った高い品質の動画コンテンツを配信する事務所も散見されるようになりました。
税理士事務所の動画活用事例_最新の法改正・セミナー・事務所紹介・よくある質問

初心者こそ知っておきたい:動画配信の「慣れ」

初めて動画を撮ると、「声が固い」「目線が泳ぐ」「言葉がつまる」など、自分の話し方に戸惑うと思います。ですが、これはごく自然なことです。 動画撮影は、「慣れ」の世界です。回数を重ねることで、話すテンポ、間の取り方、カメラへの目線など、少しずつ自然にこなせるようになります。

最初は違和感があっても、10本・20本と撮り続けるうちに、自分の話し方のクセがつかめ、上手な話し方に変貌を遂げるようになります。

特別なスキルがなくても大丈夫!継続こそ最大の武器

セミナー講師を経験している税理士の先生であれば、最初からスムーズに撮影できることもあります。
しかし、それもまた「場数を踏んでいるからこそ」です。

動画に必要なのは、「話し方のうまさ」ではなく、「伝えようとする意志」「誠実さ」です。視聴者は完璧なナレーターではなく、「身近な専門家」としての安心感を求めています。だからこそ、最初から100%上手く話せなくても気にする必要はありません。

スタートの段階から完ぺきを求めないことです。大切なのは、継続して経験を積むこと。これに尽きます。

動画配信を成功させるコツ3つ

動画配信を始めるにあたって、押さえておきたいポイントを3つご紹介します。

①テーマは「よくある質問」から選ぶ
スタート段階の動画は、顧客からよく聞かれる質問(Q&A)をテーマにするとスムーズです。
例:「ふるさと納税の限度額は?」「青色申告と白色申告の違いって?」など。
これは、普段の先生の話し方に近付きますので、テーマ選びとしてお勧めしたいものとなります。

②1本あたり5分以内を目安に
短く、テンポよくまとめることが視聴者の満足度につながります。長すぎると途中で離脱される原因に。
①に連動しますが、良くある質問であれば短めの動画になるはずなので①と②はセットで考えても良いでしょう。

完璧を求めすぎない 
撮り直しを繰り返すと、いつまでも公開できません。
多少の言い間違いや噛みは、逆に「人間味」が出てOKだったりします。
1回撮り直したらそれで公開する。というルールを設けるのもおすすめです。
動画配信サイクル_テーマ選び・動画計画・動画撮影・動画公開

動画配信を「習慣化」することで、事務所の信頼が広がる

動画は、単なる集客ツールではありません。視聴者(見込み顧客)に安心感と信頼感を与える「人となりの伝達手段」です。
実は、動画はテキスト情報の約4,000倍の情報量を持つとも言われています。表情、声のトーン、話すスピード、間の取り方、背景や身だしなみなど、言葉以外の「非言語情報」も含めて、視聴者に多くのことを伝えることができるのが動画の大きな特徴です。

そのため、単に「情報を伝える」だけでなく、「この先生にお願いしたい」と思ってもらえる補完的な要素になります。初めは動画の撮影に緊張していた先生も、何本も配信を重ねるうちに、自然な語り口となります。そして、動画を通じて「会ったことはないけど、相談してみたいと思える先生」になることが、これからの税理士業界において大きな差別化要素になるはずです。
【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。