税理士事務所が行う新設法人DM(ダイレクトメール)は粘り強さが必要

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税理士事務所が行う新規顧客拡大手法には、
新設法人向けのDM(ダイレクトメール)というものがあります。

新しく会社を立ち上げた法人いわゆる新設法人に対して、
ダイレクトメールをお届けするというものです。

最もポピュラーで取り組む事務所も多いものです。

これはやはり、他の事務所からお客様を奪うといった、
引抜きではない形であるため業態的に好まれるのだと思います。

新設ではなく既設の法人向けの場合、
どうしても他の税理士(既に関与をしている税理士先生)との
軋轢が生じやすく、税理士会などの集まりに参加をする
先生などはどうしても「のこる販促」は取り組み難いでしょう。

どこでやめるかどこまで続けるか

この新設法人DM。
取り組んだことがある事務所は実は結構存在します。

しかし、それがずっと続いているかどうかというと殆どが続きません。
継続が出来ないのです。

年末年始、確定申告期など繁忙期には実行できないといった事情のある事務所が殆どです。
そこで一旦ストップしてしまうことで、そのままとまってしまうということが起きます。

不思議と大体半年間位が持続期間であることが多いです。
出てくる結果もおのずと限られたものになります。

結果を出す事務所はここを継続します。
1年、2年、3年と地道にコツコツと続けるのです。

継続は力成り。

商い=飽きない

とも言われたりしますが、まさにそのような感じです。
これはDMに限ったことではなく、セミナーなどもそうですし、
紹介依頼の活動、ポスティングや相談会の開催などあらゆる活動が当てはまります。

結果が出るまでやり続ける。
結果が出るからやり続ける。

それが結果の出る事務所の共通点であり、思考回路なのです。
しかし、私なども頭では分かっていますが、実際に自社でやろうとすると大変なことです。
継続することは。

だから、継続が出来る事務所、先生は凄い。
本当に凄いのです。

だから、上手く行くのですね。
私などもそういう先生とお付き合いをしていると、本当に見習いたいと思います。

継続できると何故良いのか?

新設法人DMに限って申し上げると、他の媒体と異なり明らかに継続をした方が効果を高めます。
送った直後でお問合せを得られる可能性もありますし、数年後にお問合せをいただけるということもある媒体だからです。

広告には2種類有りまして、やったら終わってしまうタイプの広告、
即ち、googleやYahoo!などのキーワード広告(リスティング広告)といったものや、
新聞、雑誌などの媒体広告など。

こういう媒体は一度実施したら数日でその効果が終わります。
これは良い悪いではなくて、基本的にそういうものです。

従いまして、これを続けることの意味は即効性を求めるということもありますが、
イメージ戦略としての要素が強く出てきます。
「よく見かける事務所だな」とか「有名な事務所なんだな」といったイメージです。

一方で一度実施した広告が「のこる」性質のものがあります。
それが、ダイレクトメールです。FAXDMなどものこることもありますがそんなに長くはのこらないでしょう。

手元に残るものとしては、
他にも小冊子や単行本、パンフレットや名刺など紙(モノ)として残るものが考えられます。
キャンペーンなどを実施する事務所様の場合はノベルティグッズなどをかませることもあります。

この「のこる」ということが、新設法人DMを考えるときに大変に重要なポイントになります。
中小企業のオーナーである経営者が税務会計のことや資金繰り・融資で困って会計事務所の利用を考えるときの事を考えてみると、
開業前、開業直後、開業して1年後、軌道に乗ってきた3年後あるいは5年後などに、
税理士への依頼を考えるタイミングとして考えられます。

要するにそのときに検討の土台に上がるようにするためにはどうすれば良いのか?
と言う発想をするということです。

そういう発想で考えますとダイレクトメールをどのような内容にすべきなのか、
どのようなタイミングで送ると良さそうなのか、タイミングにあわせた内容を検討すべきではないかなど、
アイデア、発想がいくつも出てきますよね。

それが企画であり、重要なものです。

そういう企画を、自分で考えつくようにして行きたいものですね。

驚きのケース

私は新設法人DMについてはとにかく継続をお勧めしています。

これは継続をしている事務所さんであれば「そうそうそう」とご納得いただけることなのですが、
ずっと継続をしてしっかりと効果測定をしておりますと、次のようなことが起きます。

履歴をたどってみたら、3年前、5年前のDMからの問合せだったとか、
創業時に一度相談にこられた方が数年後にまた起こしになって契約になったとか。

そういったことが起きるのです。
もちろん、DM本体も残りやすく、しっかりとしたものである必要が有ります。
はがきとかチラシ状のDMでは保存率はどうしても落ちます。

一方、視認性重視と言う意味で、例えばキャンペーン案内とか、
期間限定で特別オファーがあってなどであればはがきやチラシで、
即効性重視の広告という考えも有ります。(それはそれでひとつの方法です)

ただ、私が長年見ていて感じるのは、
「安さ」や「お得感」のみで契約になるよりも、
しっかりと内容を見てもらってからの契約というカタチのほうが、
長続きする良い関係が構築できるように感じられます。

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【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。