第25号 understand はどん底の底辺に立つこと

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浪人生の頃に励みになったのは予備校の先生からのエールでした。
私は大学進学のとき、浪人生として勉強をしていた時期がありました。浪人生と言うのはなかなかの底辺です。気持ち的にも沈んでしまいますし、何かにつけて肩身が狭い。 合格するまでは家でも発言権が無いものです。同級生でも大学に通っている人と浪人している人とでは出てくる「影」の違いがあるものです(笑)。そんな気持ちを察してか、予備校講師も一流の励まし方をしてくれたものです。

良いかぁ?お前ら今の人生どん底な感じだろ?でもそれが良いんだぞ。
私は「英語」という教科が苦手で、それでも少しでも力をつけなければということで、代々木ゼミナールで英語の講座に通っていました。当時の代々木ゼミナールは豪華絢爛。多彩なタレント性の強い講師陣が名前を連ねていました。その中の1人が英語の西きょうじ先生です。現在は東進という予備校へ転籍をされているようですが、当時は代々木ゼミナールの人気講師でした。西先生はいつも紫色のスーツを身にまとい、おっとりとゆっくりした口調で分かりやすい英語の授業をしてくれました。優しく諭すような口調が印象的でした。
予備校の授業で楽しみなのは授業の合間にはさんでくる先生の雑談です。
「ちょっと息抜きな」と言っていつも面白可笑しい話を聞かせてくれたものです。人気講師の授業は本来の講義そのものももちろんですが、このちょっとした息抜きの手法が抜群に上手でした。私が受講していた英語の西先生の息抜き面白くテープに撮っている生徒も多くいました。今でも記憶に残っている話があります。
「お前らなぁ?今浪人生やっていて、同級生は大学行って楽しんでいるのに、何で自分だけ勉強してんだろって思ってるだろ?」
確かに浪人生には大抵そういう卑屈な思考があるものです。
「なんか人生真っ暗でいつまで続くんだろって思っていないか?周りからも気をつかわれて、同級生と会うのも気が引けるよな。まぁ基本、楽しくはないよなぁ」
なんだか、今日の西先生は重い話をするなぁ。そのように感じていました。いつもは面白可笑しい話を軽快なトークでしてくれるのですが、その日はいつになく大真面目。続けて西先生はこんな話を聞かせてくれました。
「良いかぁ、お前らな、understandって単語あるだろ?意味は分かるな?・・・そうだ、『理解する・分かる』だな。これ、どういうことか分かるか?」?
西先生は一体何を言いたいのだろうか。直ぐにはわかりませんでした。「理解する」の英単語で何を伝えたいのか良く分からなかったのです。しかし、話を聞いて感動。あれから20年以上経った今でも鮮明に覚えています。
「良いかぁ、物事を理解するって言うのはな、上から下を見下すようなことを言うんじゃないんだ。お前ら底辺だから人から見下されて、世間から理解されたいとかって思っているんじゃないか?」確かにほぼ図星でした。
「でもなぁ、本当に物事を理解することが出来るのは、底辺に立ったときなんだ。見下す時に理解できるわけじゃないんだ。一番下に立ったときに感じることが、理解するっていうことなんだ。『under』+『stand』だろ?」

純粋な成功者の話よりも、失敗をしてどん底を味わった人が再起して成功をしたという人の話に心が動かされるということがあります。それはやはりどん底にあって、そこで何かをつかみ取り、理解した人だからなのかもしれません。
何をどん底と設定するかは人それぞれですが、底にありそうな時こそが人間的に最も成長することが出来るチャンスなのかもしれません。

合資会社オオタキカク 代表 太田亮児
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