税理士事務所の営業企画|汎用性有りと無しどっちが良い?

税理士事務所のマーケティング
税理士事務所の営業企画って、
汎用性がある方が良いですか?
汎用性が無い方が良いですか?

営業企画、マーケティングの取り組みや、
取り扱うツール、営業手法などを論じる際、
ここら辺の考え方というものが、
税理士事務所さんによって随分異なります。

多くの税理士先生は汎用性のある取り組みを求める

これは業界の特徴であると言えます。
他所の税理士事務所、会計事務所が取り組んでいて、尚且つ結果が出ていて、更には費用対効果がよくて、ついでに面倒くさくないような取り組みをお求めになる傾向があります。

基本的に当社の関与先様ではいらっしゃいませんが、新規でお問合せを下さる方の中には、そういった超必殺技をお求めになる方が多く、業界的に見てもその傾向は強くあります。

税理士法というものがありますから、他所でやっていて大丈夫なものをお求めになるのは良く分かります。しかし、マーケティングを行っている私の視点は少し異なります。

汎用性無しの方が価値のある取り組みになる

税理士事務所の営業支援、マーケティング支援を行っている私の視点は全く逆で、汎用性があればあるほど効果としては弱いものになってしまうという考えを持っています。

汎用性があるということは、他の税理士事務所が取り組んでも同じように出来てしまうということですから、模倣されます。模倣されるということは、せっかく営業活動を頑張っても、効果がどんどん薄まってしまうことになるということです。大手の事務所が同じ取り組みで攻めてきたらひとたまりもありません。

先日もある地域の税理士事務所のホームページ競合分析を行っていましたら、サイトへのアクセス流入予測が200倍もの差があったということがありました。(そういう情報が分析できるツールがあるのです)同じ条件であれば力の強い方が勝つに決まっていますから、汎用性の高いホームページでその競合と正面からぶつかり合うのは得策ではありませんし、そもそも相手になりません。

汎用性のない税理士事務所の営業企画とは何か?

汎用性のないものというのは、商品としてパッケージングされていないものということです。パッケージングされた商品がダメだとか良くないということではありませんが、競合する税理士事務所と圧倒的な差を付けたいとか、地域で一番の税理士事務所になりたいといったことを考えるのであれば、汎用型ではやっぱりダメなんですね。

事務所の状況や環境に適した形にカスタマイズされたプランであるかどうか?

ここが大事です。そもそも事務所ではどのような顧客層に向けた活動を行いたいのか、アナログとデジタルとどちらが適しているのか、どちらが得意なのか。顧客はそれを求めているのか。税理士事務所で取り扱っているサービス、商材はどのような特性があるものなのか。マーケティング実務(実際に手足を動かす)を行う人が税理士先生ご本人が行うのか、職員さんが行うのか、パートさんが行うのか、業者さんに丸投げするのか。等々、色々な変動要素があります。

この変動要素に企画の形があっていませんと、文字通り「絵に描いた餅」に終わります。営業企画が絵に描いた餅にならないためには、事務所の実態に合ったプランなのかどうかを見極めることが必要になるわけです。

昔はそういった情報が世の中には出回りませんでしたから、汎用性のある取り組みで十分という風潮もありました。でも最近ではもうだめでしょうね。それぞれの税理士事務所で汎用性のない独自のマーケティングプランを考え、それを実行して行くことが高い効果を導き出す唯一の方法であると感じます。
【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。