税務顧問報酬の世界も「悪貨は良貨を駆逐する」なのか?

あらゆる市場で起きている情報社会の弊害

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悪貨は良貨を駆逐するというのは、 

一つの社会(あるいは市場)で名目上の価値が同じ、 
実質上の価値が異なる貨幣(あるいはサービス)が同時に流通すると、 
良貨はしまい込まれて市場から姿を消し、 
悪貨だけが流通するという「グレシャムの法則」のこと。 

このグレシャムの法則。今やあらゆることに対して生じていると感じます。

例えば、100円ショップ。

名目上の価値は例えば「はさみ」だとしましょう。
普通はさみは1000円とか500円くらいでしょうか?

しっかりとした、長持ちするものであればそれくらいはするでしょう。

しかし、今や100円ショップに行けば100円で手にすることが出来ます。
100円のはさみと1000円のはさみですから価格的には10倍。

もちろん実質上の価値は異なります。
100円ショップが良くないということではありませんが、
それがあまりにも普及してしまうと1000円のはさみは極端に売れなくなり、
市場から駆逐されてしまいます。

本当によいものが市場から消えて行ってしまうわけですね。
「職人の技が冴え渡る本当のよきもの」が段々姿を消して行くわけです。
あらゆるものに生じているということで、
会計事務所の顧問料にも同様のことが言えます。

税務顧問1万円が普及しすぎてしまうことで、
本当にしっかりと面倒を見てくれる3万円くらいのサービスが駆逐されてしまいます。

これなどは典型的な「悪貨は良貨を駆逐する」なのかもしれません。

そういうことを考えていたら、当社自身、「悪貨」にも「良貨」にもなりうると感じることがあります。
「良貨」となりつつも、市場からは駆逐されないためにはどうするか?

私は常にそういう発想で価値をいかにして伝えて行くかを考えて行きたいと思うのです。
【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。