【会計事務所レポート】所長に聞く 我が事務所の特徴と強み「有限会社いちご会計事務所」

目次

  • 税理士新聞第1876号 2026年4月5日号掲載
  • 【会計事務所レポート】所長に聞く 我が事務所の特徴と強み
  • 経営支援としてのオンライン社長塾 社長自らが戦略を学び、実行力を高める
  • なぜオンライン社長塾を 始めたのか?
  • 寺子屋形式・ オンラインという設計
  • 税理士が関わる意義
  • 太田の「結び」

税理士新聞第1876号 2026年4月5日号掲載

【会計事務所レポート】所長に聞く 我が事務所の特徴と強み

「有限会社いちご会計事務所 公認会計士・税理士 足立 知弘」
特別企画 聞き手:太田 亮児(オオタキカク代表)

経営支援としてのオンライン社長塾 社長自らが戦略を学び、実行力を高める

公認会計士・税理士 足立 知弘
近年、税理士事務所が顧問先の社長に対して、経営支援やコンサルティングを強化する動きが広がっている。顧問先の成長にどこまで踏み込むべきか、多くの税理士が模索しているテーマではないだろうか。いちご会計事務所の公認会計士・税理士、足立知弘氏はその一つの答えとして、「オンライン社長塾」を立ち上げた。顧問先に助言するだけでなく、 社長自身が経営戦略を学び、実行できる力を育てる場を作るという取り組みだ。今回はオオタキカク代表の太田亮児氏が聞き手となり、その志と仕組みについてレポートする。
太田:このオンライン社長塾を始めようと思われた背景から教えてください。
足立:これまで多くの社長と向き合うなかで、「うちには戦略がないのです」という言葉を何度も耳にしました。それは怠慢ではなく「学ぶ場所がなかっただけ」だと思っています。社員には研修がありますが、社長には体系的に学ぶ場がほとんどありません。経営者団体は交流が中心ですし、セミナーは単発で終わることが少なくありません。
専門的な経営講座は時間が長く、費用も負担が大きい。本を読もうと思っても続かない。中小企業の社長が腰を据えて戦略を学べる環境は、本当に限られているのです。
太田:確かに私もそうですが、中小企業の社長は、日々の業務に追われてしまうので、経営戦略についてじっくりと考える時間はなかなか作れませんよね。
足立:そうなのです。事業を大きくしたいという思いはあるのに、現場が忙しく経営に集中できない。勉強会には関心があるが、紹介ノルマのようなものがある場には参加したくない。集合型の勉強会は時間の調整が難しい。自分のペースで学びたい。しかも、中小企業向けの実践的な内容でなければ意味がない。そうした社長の声を受けて、設計したのがオンライン社長塾です。
太田:具体的には、どのような形で運営されているのでしょうか。
足立:講義型のセミナーではなく、ゼミ形式、いわば〝寺子屋形式〟です。毎週水曜の朝7時から9時、オンラインで開催しています。市場シェア(占有率)に基づいて企業を「強者」と「弱者」に分け、それぞれに適した戦い方を提示する「ランチェスター戦略」を軸に、中小企業向けに実務へどう落とし込むかを重視しています。私が解説した後、参加する社長同士が自社の課題を持ち寄り、本音で議論します。仲間の視点から気づきを得ることで、自社の戦略に具体性が生まれます。
太田:一人で考えていると、どうしても視野が狭くなってしまいがちですよね。社長同士が対話することには、どのような意味があるとお考えですか。
足立:学ぶ➡試す➡振り返る➡また学ぶ、この循環を仲間と回すことが重要だと考えています。戦略は知識として知っているだけでは意味がありません。実行し、検証し、また修正するという、そのプロセスを共有できる仲間がいることで、行動が継続しやすくなります。そのための〝考える習慣〟を身につけてもらう場にしたいと思っています。
太田:税理士がこうした学びの場をつくる意義については、どうお考えですか。
足立:顧問先にアドバイスをするだけでなく、社長自身が経営戦略を考え、判断できる力を育てることができれば、支援の質は一段と高まります。税理士は数字を通じて企業の実態を把握できる立場にあります。その強みを活かし、学びの機会を提供することは、十分に意義のある取り組みだと考えています。
太田:社長は孤独であり、経営戦略を学ぶ時間も環境も限られています。その現実を前提に、寺子屋形式で学び合い、実務へ落とし込む仕組みを構築している点は、顧問先支援のあり方を考えるうえで参考になる取り組みです。
顧問先に答えを示すだけでなく、「考える場」をどう設計するか。足立氏の取り組みは、そのヒントを具体的な形で示しています。
第1876号 税理士新聞

【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。