税務スキルを身につけることと顧客増とは別のもの

勉強に時間とコストをかけるが広報には・・・

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今回の記事は決して否定している内容では有りません。

ただ、「顧問先を増やしたい」という相談を現場で受けるたび、
私が感じていることをお話したいと思います。

税理士先生が何かのお資格を取得されたり、
そのための勉強に費用をかけて力をつけることは、
とてもすばらしいことであると思います。

自らあるいはスタッフの皆様が学び続け、スキルを高め、
知識を増やすこと自体が「仕入」となるわけですから、
とても重要なことであると存じます。

学んだことと、それを人に伝えることは別のもの

例えば、相続分野のスキルを高めるために学校などで学んだとします。
するとその先生はスキルが高まり、既存のお客様に対してご提案や相談業務を行うことが出来る。

しかしながら、ホームページや事務所パンフレットが存在していないなどすると、
先生が相続分野のスキルを持っていることが外の人には全く分かりません。

結果、いくらスキルを高めても問合せの増加などにはつながりません。
もちろん人から人へ紹介がつながって行くのであれば理想的ですが、
現実的にそんなにかんたんには行かないということは私が申し上げるまでもないと思います。

先生がどういうジャンルに精通していて、どういった案件に強く、スキルがあるのか。
そういったことは伝えてあげませんと伝わりません。
(書いていてなんだか自分に言い聞かせているような気になってきました・・・(笑))
全く的外れであるとまでは申しませんが、
残念ながらすこしずれてしまっているといえます。

会計事務所に必要なのは「広告宣伝費」の概念です。

会計業界は「広告宣伝費」に費用をかけなさすぎです。
あまりにもかけていません。

規模的に当社の5倍もあるような事務所様であっても、
当社より年間の広告宣伝費をかけていないケースがよくあります。

それはそれで凄いことなのですが、
そういう事務所様ほど、残念なことに年々顧客減少傾向に有ります。

事務所規模がここ数年で1/3になった1/2になったといったお話は良く耳にします。
で、それを持ち直すために何をしているかと言うと、お勉強をされているわけです。

ご本業である税法のお勉強もそうですが、マーケティングや営業に関することもお勉強をされます。
高い高い数十万円もするような研修に参加をしてお勉強をされる。

それ自体はすばらしいことでは有ります。

が。

マーケティング、営業関係のものに関しては何一つ実践していない。
勉強するだけでおしまい。

こういうケースが殆どです。

勉強したことを実践して「商品化」できなければ

実践と商品化がキーワードとなります。

そして、学ぶこと勉強することと実践・商品化(広い意味での営業)とのバランス。
広告宣伝費の概念を取り入れること。

これらをバランスよくやる必要があるわけです。
顧客増を考えるのであれば。

しかしながら、このバランスが良くないケースが殆どです。
勉強はするけれど、(営業関係について)実践しない、商品化しない、広告宣伝しない。
結果、顧客増につながらない。

勉強しておしまい。
知識だけ増えて何も身にならない。(あくまでも営業系のお話です)

要はバランスです。

ちょっとバランス配分を変えれば成果は出せるのです。

【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。