「何が一番効果的ですか?」の質問の不毛さ

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顧問先拡大に関するご相談を受けた際、
非常に多く聞かれる質問が、

「今、何が一番効果的ですか?」

「今、一番反応のあるのはどの業種ですか?」


といった質問です。

私はこの手のご質問が実は大変に疲れます。
疲れる、と申しますか、非常に残念な気持ちになります。

「どのスポーツが一番異性にもてますか?」という質問に似ている

要するにそういうことなのです。

そもそもスポーツをやるのに「異性にもてたい」というのが一番に来るのか?という点。
無論、そういった一見、不純と感じられるようなことがきっかけで、大成すると言うこともありますから、
そのこと自体は否定はしません。

問題は次です。

「どのスポーツが一番もてるか」という視点が目標に到達するための一番良い手段ではないケースがある。

ということです。

スポーツをするのが男性であったとしたら、「サッカーをやっている男子が好きな女子」もいますし、
「野球男子が好きな女子」「スノーボード男子が好きな女子」「柔道男子が好きな女子」などなど。

それは人それぞれです。

男子は男子で、世の中の女子なら誰でも良い。というわけではありませんし、
「柔道男子が好きな女子」に好かれたいのに、サッカーをやっても仕方がありません。

自分はどういう異性に好かれたいのか?
自分をどのように感じて欲しいのか?

そういうことって大事だと思うのです。
そもそも、何のスポーツをやっているかが問題ではなくて、
ただ、「一生懸命に何かに取り組んでいる人」が魅力的だと映っているのかもしれません。

だとしたら、別にスポーツでなくても良いわけです。
にもかかわらず「どのスポーツが」となってしまう時点で何かがずれてしまっているのです。

顧問先拡大の話に戻しましょう

「今、何が一番効果的ですか?」

「今、一番反応のあるのはどの業種ですか?」


さてこの質問。

例えば「何が一番効果的か」という質問に対して「ダイレクトメールです」という回答があったとした際、
それで何が起きるでしょうか。

「で?」

となります。ほぼ100%なります。
「異性にもてるスポーツは?」という質問に対して「少林寺拳法です」と回答(実際はもてません)したら、

「で?」

となるのと同じです。
一番反応のある業種は?についても同様です。

アプローチの順番が違うのです。

簡単にまとめますと、
「手段」から入って「結論」に至ろうとしても至れないということです。
どこに向かえば良いのかわからないからです。

まずは「結論」から入ると良いでしょう。
「結論」から入って「手段」を検討するということです。

「何が一番効果的か」といった手段の検討ではなくて、

顧問報酬5万円以上の中小企業
地域はどこどこに本店を構える法人
実施する業務は・・・

そういった関与先を3年間で10社増やしたい。

こういうものがあって初めて、
具体的な手段の検討ということになってくるわけです。

でも手段の切り売りの方がわかりやすくて、多くの人が欲しがるのですね。
「新設法人DMのノウハウ!」とか「介護業界を開拓する秘訣!」など。
そういう方がわかりやすい。

そういう安易な取り組みをつまみ食いしてしまうから顧問先拡大が上手く行かないわけですが、
なかなかこの本質的な部分がご理解いただけないケースが多いです。

当社で関与をさせていただいている事務所様のほとんどは、
こういう安易な選択はされません。
【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。