税理士の営業力を高めるチラシ・パンフレット活用術 – 専門性と強みを伝える紙媒体の工夫とは?

目次

  • チラシ・パンフレットは「営業ツール」として戦略的に使うべき
  • 紙媒体が税理士の営業に効く3つの理由
  • 成果につながる!営業用チラシ・パンフレット作成の基本5要素
  • チラシ・パンフレットに入れるべき5つの要素
  • 実際によくある失敗例と改善ポイント
  • 営業に“使える”紙媒体を持つことが競争優位につながる
更新日: 2025年6月18日

チラシ・パンフレットは「営業ツール」として戦略的に使うべき

税理士にとってチラシやパンフレットは、事務所案内にとどまらず、営業活動の中で活用できる有力な手段の一つになり得ます。専門性や強みを明確に伝える紙媒体は、サービスの信頼性を高め、見込み顧客へのアプローチツールとしても機能します。特に「誰に」「何を」届けたいのかを明確にすることで、他事務所との差別化にもつながります。

たとえば「医療業界に強い税理士」や「資金調達支援の実績が豊富」など、ターゲットを意識した情報発信により、読み手が“自分ごと”として関心を持ちやすくなります。加えて、税理士の人柄や事務所の雰囲気が伝わる写真やデザインも、安心感や親しみやすさを醸成します。

紙媒体は一度作れば終わりではなく、顧客ニーズや事務所の方向性に応じて改善・更新しながら、営業活動を支える“継続的に使えるツール”として活かすことが大切です。
同じチラシでもターゲットによって大きく異なる

紙媒体が税理士の営業に効く3つの理由

紙媒体は、税理士の営業活動においていま一度見直したいツールの一つです。特に「チラシ」「パンフレット」といった形で情報を届けることで、3つの観点から効果が期待できます。

第一に、信頼感の醸成です。紙に印刷された情報は、Webと比べて“しっかりしている”“信頼できそう”という印象を与えるケースが少なくありません。特に年配層や経営者層では、紙媒体の存在が安心材料になることもあります。

第二に、認知拡大への貢献です。チラシやパンフレットは、対面での手渡し、郵送、名刺同封など、物理的に相手の手元に残るのが強みです。デジタル情報が流れていく中で、「残る媒体」であることが記憶にも残りやすく、後日の問い合わせにつながるケースもあります。

第三に、専門性の打ち出しやすさが挙げられます。特定業種に強い、資金調達に詳しいなどの強みを、文章とデザインの両面から伝えられる点は紙ならではです。税理士の営業ツールとして、紙媒体は十分に活用の余地があります。
税理士の営業における紙媒体のサイクル

成果につながる!営業用チラシ・パンフレット作成の基本5要素

営業に活かせるチラシやパンフレットを作るには、「何を載せるか」が成果を左右します。特に以下の5つの要素は、読み手に“伝わる”紙媒体にするための基本です。
まず大切なのは、キャッチコピーです。専門分野や提供価値を一言で伝える表現は、手に取った瞬間の関心を左右します。たとえば「医療法人の税務支援に特化」や「資金繰り改善に強い」など、明確な打ち出しが効果的です。

次に、誰に向けた内容か(ターゲット)を明確にしましょう。読み手が「これは自分のことだ」と感じられると、行動につながりやすくなります。

3つ目は、提供サービスの具体例です。単に「税務顧問」と書くより、「決算申告、月次試算表の提供、融資サポートまで対応」など、実務イメージを湧かせることで信頼度が増します。料金例や実績紹介があればなお良いでしょう。

4つ目は、税理士や事務所の紹介です。人柄や理念が伝わると、依頼への心理的ハードルが下がります。

そして最後に、問い合わせ導線を忘れずに。電話番号やメールアドレスに加え、QRコードの活用も有効です。
効果的な紙媒体の要素

チラシ・パンフレットに入れるべき5つの要素

紙媒体を営業に活用するうえで、成果につながらないチラシやパンフレットにはいくつかの共通した「失敗パターン」が見られます。まず意識すべきは、“読み手に伝わっていない”という点です。

最も多いのが、「何をしてくれる税理士なのか」が伝わらないケースです。専門分野や提供価値が曖昧だと、読み手は「自分に関係があるかどうか」が判断できません。また、事務所紹介だけで終わってしまい、顧客側のメリットが書かれていないものも多く見受けられます。「なぜこの事務所を選ぶべきか」が見えなければ、印象に残りません。

さらに、デザインの統一感がなく、読みづらい・安っぽい印象を与えてしまうケースもあります。色使いやフォント、レイアウトがバラバラでは、専門性よりも違和感が残ります。

改善策としては、専門性を端的に伝えるキャッチコピーを用意すること、強みや実績を図やアイコンで視覚的に示す工夫を加えることが挙げられます。自分のことを客観的に見る視点と、読み手にとっての「わかりやすさ」を意識することが重要です。
営業資料を効果的に活用する方法は?

実際によくある失敗例と改善ポイント

紙媒体は、単体で使うよりも「複数を連動させて使う」ことで、営業効果を高めることができます。特にチラシやパンフレットだけでなく、名刺・封筒・案内状なども含めた紙媒体全体の統一感が、信頼感や印象強化につながります。 たとえば、名刺とチラシを一緒に封入するだけでも反応率が変わることがあります。名刺が個人の信頼を伝えるものなら、チラシはサービス内容や実績を裏付けるもの。2つを組み合わせることで、「人」と「提供価値」の両面を伝えることができます。

また、封筒のデザインや色使いにも工夫の余地があります。真っ白な封筒よりも、ロゴやカラーを入れて事務所の世界観を反映したものは、開封時に「きちんとした印象」を与える効果があります。

さらに、顧問契約の案内パンフレットなどとデザインのトーンや言葉づかいをそろえることで、「一貫性のあるブランド」としての信頼が高まります。受け手の記憶にも残りやすく、紹介にもつながりやすい状態をつくることができます。 このように、各紙媒体を“バラバラ”にではなく、“連携させて戦略的に使う”視点が、営業成果を左右するカギになります。
紙媒体の戦略的連携

営業に“使える”紙媒体を持つことが競争優位につながる

チラシやパンフレットなどの紙媒体は、税理士の営業活動において“使い方次第で強力な武器になる”ツールです。単なる案内資料としてではなく、「誰に」「何を」「どう伝えるか」を意識して設計・運用することで、顧客との接点や信頼構築に役立ちます。
v 特に、専門性や対象業種が明確な場合、それを紙媒体で表現することは他事務所との差別化にも直結します。加えて、紙媒体は一度作れば終わりではなく、長期的に使い回せる資産として活用できます。イベント配布や郵送、対面での説明時など、あらゆる場面で応用が利くのが魅力です。

とはいえ、事務所の方針やサービス内容、対象顧客が変化することもあるでしょう。その際には、作った媒体を見直し、アップデートを繰り返すことも大切です。常に最新の強みや方針が伝わる状態に保つことで、営業ツールとしての精度が保たれます。

紙媒体は「持っているかどうか」以上に、「どう使うか」「どう伝えるか」が重要です。実務に即した紙の活用で、事務所の営業活動に確かな推進力を与えましょう。
紙媒体の活用サイクル

【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。
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