相続案件受任とホームページの関係

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高齢化にともなってか、税制改正の影響があってか、相続案件受任のための取り組みを、事務所として進めるケースが増えました。

事務所のいちサービスとして相続サポートをホームページのコンテンツとして加える場合、事務所のメインサイトとは別に相続案件受任用の専用HPを設ける場合。様々です。

どちらが良いか、という発想ではなく、まずは事務所としての方針を定める必要があります。

事務所として相続案件の受任を進めるか否かは大きな選択

簡単に「相続が今旬だから、相続のホームページを作りましょう!」なぁんて、軽率な提案は私にはできません。

なぜならば、法人税務・会計のお仕事と相続税の申告業務というのは全く違うからです。
飲食にたとえるなら、懐石料理と本格中華くらいの違いがあると私は考えます。

及ぶリスクも求められる知識や経験も異なります。

そのため、「基本的に相続案件は事務所では受けず、パートナー事務所につなげている」
という先生も多くいらっしゃいます。

もちろん、法人も相続も両方できる体制を整えているという事務所も多く存在します。
とはいえ、他の事務所がやっているからうちの事務所でもやってみようとったモチベーションでは、取り組まないほうが良いと考えられます。

ですので、まずはこの「やるかやらないか」を事務所の方針としてしっかりと固めましょう。
「ニーズがあるならやる」というのもひとつの視点ですが、それはどの事務所も同じように感じることです。
あえて激戦となる業務には入らないようにするというのも考え方のひとつです。

そのうえで、取り組むことを決めた先生がまずすべきことは?

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相続案件の受任を目指すのであれば、セミナーをやったりホームページを作ったり、パンフレットを作ったり。
小冊子を作って配ったり。
あるいは紹介者となる業者さんとのお付き合いを深めたりなどいろいろと考えられます。

私等が相談をお受けした際にまずご提案をするのは、「事務所が相続案件を受けることができる」という事実を既存の関与先に知らせること。

これにまずは力を入れるようお話しします。

多くの場合「事務所で相続を受けることができる」という事実を既存のお客様がご存知でないケースが多いのです。

ご存知であって、何かあったら相談がくるということであれば問題がありませんが、残念ながらそれはレアケースであると考えた方が良いようです。

いまどきは。

インターネットで調べたらたくさん、たくさん、たくさん専門的に業務を行っておられる事務所が出てきます。
インターネットををつかって調べる人はどういう人でしょうか。

息子さんや娘さん(50代、60代)かもしれません。
一次相続、二次相続といった状況の方かもしれません。
土地や不動産についてのお悩みを抱えた方かもしれません。

近いところに頼む。
前から知っている先生に頼む。

もちろんそういうこともあるでしょう。

しかし、現代の環境は、困ったことをピンポイントに解決してくれる専門家をいともたやすく探すことができる時代。
そういう時代にあるのにも関わらず、ご自身の事務所で相続を受けているかいないかすらわからない。
といった状況は絶対に避けるべきでしょう。

事務所通信等で伝えるのも一つ。
ホームページ上でバナーを設けてご案内するのも一つ。
ご訪問時に案内パンフレットをお渡しするのも一つ。

比較的、すぐにでもできることはあるものです。

【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。