第23号 素直かそうじゃないか。

顧問先拡大企画_鉄人_第23号
今回の語録は名言っぽいものでもありませんが、私が学生の頃習っていた少林寺拳法の先生から教わったことです。

 これを聞くまで私は、技術の上達には「身体能力」や「センス」「経験」などが最も重要なことであると思っていました。
しかし、少林寺拳法の指導にあたって数百人という教え子を見てきた少林寺拳法の先生は全く別の視点を持っていました。

 未経験者。経験者。より伸びるのは?より上達するのはどっち? 

 学生の頃、打ち込んでいた少林寺拳法。3年生、4年生になると、 部活内では「幹部」という立ち位置になり、1年生、2年生に教える立場となります。
先輩の視点で見たときに、やはり話題になりやすいのは、「今年の新入部員はどうだ?」といった話です。 
 将来(といっても1年後、2年後のことですが)誰が主将になるかとか、誰が副主将向きだとか、そういう話題が出てくるものです。 

学生の部活ですし、運動部でしたので、誰が一番上達するかといった部分でも、先輩としては気にかかる部分でした。
とはいえ、まだまだ学生の集まりですから、人を見る目といっても大したものではありません。

そこで顧問の先生に聞いてみたりなどしたものです。
「先生、今年の一年生ですが、誰が一番伸びそうですか?」
先生と二人きりになった時などに個別に聞いたりなどして先生のお考えを伺ってみました。
「太田くんは未経験から始めた人だったね」そうです。
元々武道に興味はありましたが、実際に学び始めたのは大学に入ってからでした。
「未経験者は最初は時間がかかるけど、伸びることが多いね」「経験者は人にもよるけどなかなか上達し難いね」。 「そういうものですか?」私は先生に聞きました。

もし仮に先生の言っていることが本当であれば、私は後半でぐっと伸びるタイプだ!(笑)
すると、先生は続けてこのように私に説明をしてくれました。
「まぁ部員にも色々いるからね。未経験者もいるし、経験者もいる。中には別の武道であったり、球技や陸上競技でならした人もいる。ひとくくりに伸びる伸びないといった区別はつけることが出来ないね」
「未経験者でも、伸びる人もいるし、そうでない人もいる。直ぐに上達する人もいるし、時間のかかる人もいる」。

 確かに先生のおっしゃる通りなのですが、禅問答をしているようで、私は段々と分からなくなってしまいました。要するに自分や他の同級生、後輩たちなどは上達するのかしないのか・・・。
素質やセンスがあるのかないのか。その時の私はそういった ことが知りたかったのです。 それを察していただけたのかどうかは分かりませんが、先生は 言いました。
「簡単に言うと素直かそうじゃないかだな」とのこと。

未経験者は過去の経験や常識自体が無いので、言われたこと をそのまま吸収しようとする。だから上達が早い。 しかし、経験者の場合は過去に習った事や経験をしたことが意識的、無意識的に定着してしまっているので、素直にアドバイスを聞き届けることが出来ず、教えたことがそのまま伝わり難い。身体に染みついたクセのような物も中々取れない。

その一方で、一番大きく伸びるのは、『経験があって、尚且つ未経験者よりも 素直になれる人である』といったことを教わりました。 それまで私は「〇〇だから伸びる」とか「〇〇だと上手くなる」という思考だったのですが、その先生に教えていただいてからは、 「素直だと伸びる」「素直だと上手くなる」という思考に切り替わりました。

「未経験者の方が伸びる!」ではなくて「より素直な方が伸びる!」更に「経験者でありながらも素直な人が最強!」なのです。この教えは私の人生に大きな影響を与えてくれました。
このことに感銘を受けた私は、社訓の中に「素直に」「謙虚に」という言葉を入れ、常に忘れないように心がけているのです。

 合資会社オオタキカク 代表 太田亮児