第19号 肩に力が入って良いことは武術に限って言えば何一つ無い

s_201404-e1619578333223
肩の力を抜くのには、訓練をしないと抜けません。
半年に一回は「企画語録」ではなく、私が昔習っていた武術語録になりつつあります(笑)。とはいえ、何かの道に特化した人、その道に精通した人、ある意味「捧げてしまった」人が口にした言葉というものは、その後の人生や仕事に大いに活きています。企画やマーケティングにもリキみというものは厳禁です。それは動きの幅が狭くなり変化適応できなくなるからです。

普段から意識をして力を抜くことで段々力が抜けるようになってくる。
落ち着いて、リキまないで。平常心平常心・・・。そのような心がけは学生時代に仕込まれました。今回の「肩に力が入って良いことは武術に限って言えば何一つ無い」の言葉は、学生のころ少し通っていた高田馬場で練気武颯拳(れんきむそうけん)を指導されている、茂呂恵子先生に教えていただいたことです。
武術というものは体術であって、体術であるということは人間が動くことです。
人間が動くものと捉えるのであれば、人が活動する全てに通じることであって、体を動かすこと、言葉を発すること、頭で考えること(脳を動かすこと)など全てに通じることであると私はとらえています。落ち着きが無い、リキんでいる状態というのは、大抵何をやっても上手くいきません。それでは落ち着きが無いとき、リキんでいるときというのは一体どういうときでしょうか?
少しリアルなお話をすると、「家庭がうまく行っていない」「やめてしまった職員がお客様を引き抜いた」「解約が続いてしまった」などのことがあると、当然のことながら落ち着きがなくなってしまいます。これは誰しもそうなると思います。 また、職員さんの仕事のやり方が気になっていたり、お客様から無理な要求を受けていたり、理不尽な値引き要求などがあったりしますと、どうしてもマイナスの感情が表に出てしまい、リキんでしまいます。これも人間なのでおかしなことではありません。しかし、そういった落ち着かない、リキみがある状態で何か別の活動に取り組もうとすると、大抵上手く行きません。
この状態を武術の世界では「肩に力が入った状態」と言ったりします。 肩に力が入った状態から脱するには、身体的な部分で見ると、深呼吸をして呼吸を整えることがわかりやすそうです。とはいえ、仕事の中にあっては少し深呼吸をしたくらいでは、必ずしも緊張が解れるわけではありません。そもそもスーツ姿でネクタイを締めている時点でなかなかの緊張感です。

私は仕事におけるリラックスのコツはひとつしかないと考えています。
それは「前向きに肯定的になること」です。絶妙に力が抜けていて、上手く行く企画というのは「後ろ向きで否定的」な状態からでは決して生まれません。また、私が知っている成功者の方々は、皆さん前向きで肯定的になる技術に長けていらっしゃいます。しかし成功者の方も最初から成功していたわけではなく、若い頃は大変なご苦労をされていたといった話をよく伺います。失敗を重ねるごとに丸くなり余計な力が抜けて自然体になられるようです。肩の力が抜けた良い感じの状態になるためには、やはり訓練や修行が必要なのだなと感じます。私自身、意識をして力を抜こうとしていますが、たぶん、意識をしている時点でまだまだダメなのだと思います。やはり達人級の経営者、達人級の武術家は、力を抜いた状態が無意識に出来上がっていらっしゃいます。日々の修行無くしてはその境地には立てないのでしょう。寝ても覚めてもそのことばかりを考え続け、そのようにしてやっと身につく領域こそが自然体なのかもしれません。私もまだまだ精進せねばいけません!

合資会社オオタキカク 代表 太田亮児
ニュースレター_note