物を売る難しさとサービスを売る難しさ_会計事務所はどうすれば?

物を売ることの難しさ

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物を売ることとサービスを売ることは全く違います。
物を売る方々はその難しさを良く知っています。
サービスを売る方々はそれはそれで難しさが有ります。

特にサービスを売る方々に多いことですが、「サービスは物のように目に見えないので、価値が伝わり難い」ということを言われます。

それは確かな真実です。

しかしながら、物を販売するのにも難しさが伴います。
それはずばり。

1、同じ製品が出たら一番安物が売れる
2、物の「売り方」は模倣されやすい
  物の良さや特徴などをPRする手法などです
3、大手には勝てない


物だからかんたん、ということではないのですね。

物を売るのであれば差別化とローテク商品を狙え

私は以前、アイデアグッズ(ボールペン)をネットで販売していた時期が有りました。
4年ほどで200,000本を販売。取引先には上場している大企業なども含まれました。

詳細は割愛しますが、何故これだけ売れたか?ということです。

ポイントは、

1、どこにも売っていない
2、ローテク(手間隙がかかる)製品である
3、作るのが面倒くさいので大手が参入し難い


ということです。

税理士事務所にそんなこと関係あるの?

税理士・会計事務所の商品は「サービス」です。
では、この物販のものの考え方は役に立たない、関係の無い話なのでは?

と、思いますか?

こたえはノーです。

キーワードは「サービスの物化」です。

多くの場合、ここで「●●パック」とか「▲▲セット」などを思い浮かべるかもしれませんが、それでは足りません。

なぜならば、それは単にサービスに名前をつけただけの状態に過ぎないからです。

さて、物の話に戻してみましょう。

物の弱点は「模倣されやすいこと」です。
世の中に「創業パック」や「税務顧問セット」などの名称が有りすぎるのは、「模倣されやすい」からです。

この状態は「一番安いものが選ばれる状態」であるといえます。
要するに差別化になっていないのです。

これを売れる状態に転化させるためには次の工夫が必要となります。

ひとつは、どこにも売っていない何かを加えることです。
実際のところはサービスなので難しい側面は有りますが、他士業のサービスを加えてみるとか、診断サービスのようなものを加えてみるとか。
そういったアレンジを入れてみることです。

ふたつめは、手間隙をかける面倒くささを出すことです。
「かんたんだからこんなに安いですよ」ではなくて「難しくて手間がかかるからこの値段なのですよ」とすることです。
注意をしたいのが、「本当はかんたんなのに難しく見せる」という意味では有りません。
本当に難しくなければいけません。

例えば、システム化をしてワンタッチでできる診断サービスは、
手間がかかっているようですが、実際には手間がほとんどかかっていません。
それが良いとかよくないといったことではなくて、
「余所の事務所がやっても同じことが出来る」ということなのです。
従って、そういうタイプのものは模倣されやすくなります。
(否定をしているわけではありません)

難しく、手間がかかること。イコール大手事務所が参入してき難い障壁となります。
それは結果的にライバル事務所を減らすことにもつながり、適正な価格帯を維持できることになります。

【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。