税理士法人で顧問先拡大の取り組みを行う際の注意点

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税理士法人化を進める事務所様が増えています。
ご親族の方が税理士のお資格を取られ、それに
伴い法人化をされるというケース。

ご年配の先生が若手の税理士先生を迎え、
事務所の承継を見越し法人化をされるというケース。

年齢の近い税理士先生同士でタッグを組んで、
事業の拡大を図るというケース。

そして、これらのケースが入り混じったケース。
様々です。
税理士法人化をしたら全てが全て上手くいくのであれば良いことなのですが、
実際問題、かなり難しい側面もあるのではないでしょうか。

当社は「合資会社」なのですが、
無限責任社員としての社員は私、太田一人です。
複数置く必要はありません。

無限責任社員一人と、有限責任社員が一人いれば作れるのが合資会社です。

一方で税理士法人の場合は、2名以上の税理士が社員となって設立された特殊法人。
ということで、この2名以上の税理士先生は「無限責任社員」となります。

とても責任が重大であるということです。
連帯的に責任を負うようになる。
実際のところはまた色々とあるのだと思いますが、
きちんとルール化と申しますか、代表同士で話し合いを行っておきませんと、
営業戦略上考えますと、次のようなことが生じます。

A先生
「営業は行うべきだ」
「ダイレクトメールをやろう」
「セミナーをやろう」
「必要で十分な費用を投じるべきだ」

B先生
「営業はしなくても良い」
「既存客の満足度を高めよう」
「お客様向けセミナーをやろう」
「余分な費用はかけるべきではない」

といった具合に意見が対立してしまうことがあります。
責任が重くなるからこそ、自分の意見や考えというものが表面化します。
異なる意見が出てくること自体は良いのですが、
上手くコミュニケーションが取れませんとここですべてがストップしてしまうことがあります。

下手をすると、感情的な何かが生まれてしまい、
全ての決定事項が意見相違で決まらないといったことになりかねません。

同じ組織内でこういう事態になってしまいますと、
前向きな取り組みが何一つできなくなります。

無論、法人化が良くないという意味ではございません。
ただ、特に営業活動・販促活動というものにはお金がかかるものですから、
意見が衝突しやすいのです。

組織論の問題となりそうなテーマですが、
ここがきちんとできている事務所様は法人化されたことで営業活動も推進するという
プラスの効果を得やすいものです。

逆にここが曖昧な状況ですと、法人化されたことで今まで推進していた営業活動が、
停滞してしまったりなどするケースもございますので注意が必要です。
【著者プロフィール】太田亮児(おおたりょうじ)|合資会社オオタキカク 代表
税理士・会計事務所の営業、マーケティング支援を行う。起業前は東京都内にある税理士法人に勤務してマーケティング業務を専任で手掛けた。2005年にオオタキカクを設立して独立。税理士事務所の個性を活かし各事務所の強みを磨き上げオーダーメイド式でマーケティングの仕組みを作り上げるサポートを行う。2010年に「税理士・会計事務所の儲かるしかけ」を同文館出版より出版し、税理士業界に特化したサービスを展開している。税理士向けの専門紙である税理士新聞(NP通信社発行)への連載記事を手掛けていたこともある。